『怪獣8号』は正義を描き切れるか? 『呪術廻戦』『デビルマン』の展開から考察【換金くん琴似店ブログ】
松本直也の漫画『怪獣8号』(集英社)は、カフカが正体を隠そうとしてあたふたするコミカルな様や、怪獣を相手に振るうパワーのすさまじさが目下の読みどころだが、気になるのは人間を超越した存在となったカフカが行き着く先。鬼に堕ちなかった『鬼滅の刃』の竈門禰豆子や、宿儺を抑え続ける『呪術廻戦』の虎杖悠仁のように正義を貫き通せるのか。それとも『デビルマン』の不動明のように人間を憎み始めるのか。
これで終わりとなる吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)の第23巻が積まれた12月4日の書店に、これから始まる物語も並んだ。同じジャンプコミックスから登場した『怪獣8号 1』だ。『鬼滅の刃 23』や『キングダム60』(集英社)、『進撃の巨人33』(講談社)といった人気シリーズが上位を占めたRakutenブックス漫画週間ランキング(11月30日-12月6日)では、新シリーズとして最上位の36位に入って人気のほどを見せた。
第1巻の最後に登場した、円盤のような頭をした人型の怪獣が、何か画策していそうなことが連載の中で示されているが、思惑や背景など明らかになっていないことは多い。だから今は、怪獣であることを隠し、防衛隊の採用試験に挑んだカフカの身バレを気にした振る舞いのコミカルさを面白がりたい。清掃会社にカフカの後輩として入り、いっしょに防衛隊の採用試験を受けた市川レノ、アメリカの討伐大を主席で卒業してカフカを見下す四ノ宮ニコルといった同僚たちとの絡みを楽しみたい。
その上で、いつかカフカに差別や憎悪の感情が向いた時、彼が選び取る道を見極めることで、憎しみが憎しみを呼ぶ現代社会の悪循環に立ち向かう方法を学びたい。
『怪獣8号』は正義を描き切れるか? 『呪術廻戦』『デビルマン』の展開から考察
オススメマンガです。まだ1巻が出たばかりなので追いやすいですよ!