【年の瀬記者ノート】「てるみくらぶ」破綻から逮捕へ　身勝手経営が生んだ混乱【換金くん清田区北野店ブログ】

“今年３月、旅行会社「てるみくらぶ」（渋谷区）が経営破綻し、海外旅行中の利用者が帰りの航空券を発券できなくなったり、予定していた宿泊先に泊まれなくなったりするトラブルが頻発した。

　警視庁捜査２課は１１月、銀行から融資名目で現金をだまし取ったとして、詐欺容疑で社長の山田千賀子容疑者（６７）を逮捕。大混乱の末の逮捕劇に、代金を支払ったままの利用者の怒りは消えない。

　「お客さまのため売り上げを伸ばそうと経営してきたが、こんなことになり申し訳ありませんでした」。逮捕される２日前、都内で開かれた同社の債権者集会に出席した山田容疑者は、消え入りそうな声でこう陳謝していた。

　平成１０年設立の同社は、大型航空機の空席を安く仕入れ、格安の旅行プランを企画して販売することで業績を伸ばした。

　しかし、２４年頃には、大手航空会社が空席の出にくい小型旅客機の導入を始めたことなどからコストが上昇して経営を圧迫。それでも、運転資金を確保するには一定の売り上げが必要なため、赤字になってでも安い旅行商品を販売し続けて負債を拡大させ、２６年からは債務超過に陥った。

　その後も広告を出したり、現金で先に一括払いすると割引になるキャンペーンを打ったりして延命を図ったが、今年３月、ついに融資をつなぐことができなくなった。「いつ破綻してもおかしくない状態だった」と業界関係者は振り返る。

　影響をもろに受けたのは利用者だった。破綻当時に海外旅行中だった数千人が帰国や宿泊をめぐるトラブルに遭い、既に代金を支払って旅行期日を待っていた人も含めると８万～９万人に影響が出たとされる。返金はほとんど行われていない。

　逮捕前の債権者集会では「いつか破綻すると分かっていて客を集め続けたのか」「もっと早く会社をたたむ決心をしていれば、こんな被害は出なかったのでは」と厳しい質問が相次ぎ、「詐欺だ」「カネ返せ」と次第に会場は怒号に包まれた。

　米ハワイに新婚旅行を計画していた男性は、旅行の申し込み後、すぐに支払いを済ませたが、その翌日に報道で破綻を知った。代金は結婚祝い金として妻の親族から贈られたもので、「家族の思いを踏みにじられ、許すことはできない」と怒りをあらわにしていた。

　山田容疑者は、粉飾決算を繰り返して銀行をだまして４億円もの融資を引き出す一方で、利用者には早期の一括払いを要求し続けた。また年間３千万円もの役員報酬も受け取り続けていた。最後まで「お客さまのために事業を継続したかった」と主張し続けたが、取材から見えたのは、「会社の延命」しか考えていない経営者の身勝手さだけだった。　（橋本昌宗）

産経新聞”

【年の瀬記者ノート】「てるみくらぶ」破綻から逮捕へ　身勝手経営が生んだ混乱



見た感じ、計画倒産のような感じもしちゃうんですが・・・