家賃引き上げ16倍?! 東京・浅草寺の仲見世商店街に迫る“危機”【換金くん札幌本店ブログ】
東京の名所の一つで訪日外国人にも人気の浅草寺(せんそうじ)=台東区浅草=表参道に続く仲見世商店街が今、家賃をめぐる騒動に揺れている。土地と建物を所有する浅草寺から突如、これまでの約16倍に当たる値上げが提示されたという。値上げされれば、「廃業する店が出てくる可能性もある」と関係者。商店街側は「減額のお願いを含め、寺側と話し合いたい」としている。
■9月に突然
仲見世商店街振興組合によれば、各店が家賃値上げに関する寺側の意向を知ったのは9月。10平方メートル当たり月額1万5千円だった家賃を、同25万円に値上げすると提示された。
「周辺の家賃相場からすると、妥当な金額とされたが、売り上げは限られており、このままでは経営が難しくなる店も出てくる」と同振興組合広報部長の森田一郎氏(58)。「シャッターを閉める店が増えれば、今の浅草の風景が失われてしまうかもしれない」と危惧する。
約90店舗が軒を連ねる通りでは約20平方メートルの土地・建物を借りる店も多く、月3万円の家賃が一挙に50万円となるケースも出てくるという。現在は寺側と話し合いを進めている状況だ。
■きっかけはオーナーチェンジ
こうした賃料が提示された背景には7月、各店の“大家”が「東京都」から「浅草寺」に代わったことが原因だ。
東京都によると、仲見世通りの土地はもともと浅草寺が所有していたが、明治4年に所有権が国に移動。同18年、現在の東京都がれんが造りの建物を建て、管理を行ってきた。
同44年、土地は浅草寺に返還されたものの建物は行政が管理する状況が継続。その後、建物は関東大震災に見舞われて再建されるなどの経過をたどった。
昭和の戦時下には空襲で屋根や壁が焼失する被害を受けたが、商店街の店主らが自費で修繕を行ってきたという。
こうした歴史の中で「浅草寺が土地を都に無料で貸し、都が建物を店主に貸すという状況が続いてきた」と都の担当者。賃料は時代によって改訂もなされてきたが、近年は仲見世商店街全体で年間計約2500万円の家賃が支払われてきたという。
建物については浅草寺側が所有権を希望しており、6年ほど前から見直しの動きが出現。今年7月、都が寺側に建物を約2千万円で売却することで合意した。
売却にあたっては、仲見世通りの景観やにぎわいを維持することが条件とされたようだ。
家賃の値上げ額提示について寺側は詳しい情報を開示していないが、「話し合いを進めていく」としており、店側との協議が今後進んでいくものとみられる。
■「妥当な賃料」との声も
商店街関係者が危機感をあらわにする家賃の値上げだが、不動産会社の関係者は、「浅草寺周辺で10平方メートル当たり25万円という家賃はある程度『妥当』といえるのではないか」と説明。「仲見世通りは絶えず寺への参拝客や観光客らでにぎわう。そうした立地からいえば、『安い』という印象も受ける」とも話す。
実際、浅草の“集客力”は強まる傾向にある。
台東区によれば、平成28年度に浅草を訪れた観光客数は3230万人。買い物や飲食などに使われた観光消費額は計958億円に上っている。浅草寺周辺の不動産の注目度はすこぶる高く、「そもそも空き店舗が少なく、新物件が出てもすぐに入居者が決まってしまう状況」(不動産関係者)だ。
ただ、仲見世商店街は、浅草観光の集客を担う一翼であり、急激な家賃の値上げは安定経営の足かせとなりかねない。寺側と店側の話し合いの行方が注目されそうだ。
家賃引き上げ16倍?! 東京・浅草寺の仲見世商店街に迫る“危機”
今までが安すぎたんでしょうがないですよね。