痴漢を疑われても線路に逃げてはいけません…多額賠償、鉄道営業法違反、民事責任…“禁じ手”はリスクだらけ【換金くん札幌本店ブログ】
【衝撃事件の核心】
東京都内で電車内での痴漢を疑われた男が線路を逃走するケースが今年3月以降、少なくとも7件相次いでいる。4月26日には現場に残された遺留品が決め手となり、逃走していた男が警視庁に逮捕された。線路への逃走は危険なだけではなく、鉄道会社から多額の賠償を請求される可能性もあり、専門家は「冤罪(えんざい)だとしても逃走するリスクは決して小さくない」と指摘している。
■コートの中に…
「痴漢したでしょう」
今月25日、通勤時間帯で混雑していたJR埼京線の電車内に、女性の声が響いた。20代の女性会社員は、男の手をつかんで板橋駅で下車、ホーム上で男と口論になった。様子を見ていた別の男性が仲裁に入り、男を取り押さえようとしたが、男はそれを振り切って逃走。線路に飛び降り、線路脇のフェンスを乗り越えて姿をくらました。
現場には、もみ合った際に脱げたとみられる男の黒いコートが残されていた。
「俺はやってない」
翌日、埼玉県川口市の自宅を訪れた捜査員に、自称無職の男(41)は当初、そう話していたが、現場に残されたコートの中には身元を示す所持品が入っていた。
都迷惑防止条例違反(痴漢)容疑で逮捕された男はその後、「女性の尻に手が触れたのは間違いない。今はそれ以上は話せない」と供述しているという。
このほかにも、痴漢を疑われた男が線路を逃走する事件は3、4月にかけて、JR埼京線や総武線などの都内の駅で少なくとも6件発生している。
3月14日午前9時ごろには、池袋駅のホームで男が女性を突き飛ばして線路を逃走。女性は転倒して軽傷を負い、周辺の電車が一時運転を見合わせて通勤客など約3万2千人に影響した。
JR東日本は「線路上の立ち入りは非常に危険。安全が確認されるまでは立ち入りの可能性のある路線で電車を動かすことができず、影響は避けられない」とため息をつく。
板橋駅では現場の遺留品から男の身元が特定されたが、摘発はこの1件のみ。他の6件はまだ特定に至っておらず、警視庁が行方を追っている。相次ぐ線路逃走に警視庁幹部は「今後も逃げ得は決して許さない。防犯カメラの画像解析など、被疑者逮捕に向けて捜査を尽くしていく」と表情を引き締める。
■逃走は「リスク高い」
こうした逃走について、鉄道の問題に詳しい弁護士の小島好己氏は「仮に痴漢に間違われたのだとしても、がむしゃらに逃走するのは得策ではない。ましてや線路への逃走はリスクが高すぎる」と指摘する。
混み合う車内や狭いホームで無理に逃げようとすれば、周囲の人との間に摩擦が生じる。暴行罪や傷害罪に問われる可能性があるほか、線路への転落や列車に接触する危険も高まる。
さらに、逃走のために線路へ立ち入れば、それだけで鉄道営業法違反に問われるほか、列車を止めたりすることで鉄道会社への威力業務妨害罪が成立する可能性があるという。また、「刑事責任だけでなく、民事責任も問われる可能性がある」(小島氏)。電車を遅延させるなどした場合、鉄道会社から多額の損害賠償を請求されることも考えられるという。
ならば、痴漢に間違われたらどうすればよいのか。小島氏は「自分は痴漢ではないことを毅然(きぜん)と主張し、冷静に目撃者を探すこと。身分を明らかにして逃走のおそれがないことを示した上で、弁護士に連絡するのがベスト」と話している。
痴漢を疑われても線路に逃げてはいけません…多額賠償、鉄道営業法違反、民事責任…“禁じ手”はリスクだらけ
痴漢行為はダメですが冤罪だった場合逃げるしかない現状はきついですよね…