【相模原殺傷】「息子にはちゃんと名前がある」「１９人の生きた証し示して」　実名公表に向け遺族の声、聞き取りへ　２６日に５カ月【換金くん札幌本店ブログ】

　実名を明かし、生きた証しを示してほしい－。

　相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で１９人が刺殺され２７人が負傷した事件で、施設の元職員らが被害者遺族や家族らへの“聞き取り調査”に向けた準備を進めている。関係者の声を丹念に拾い上げ、実名公表への道筋を立てるのが目的だ。未曽有の大量殺傷事件から２６日で５カ月。被害者の大半が匿名の現状について、元職員らは「このままでは障害者への偏見が深まりかねない」と危惧している。（岩崎雅子、河野光汰）

■差別言動が拡散

　聞き取り調査を計画したのは、いずれもやまゆり園の元職員、太田顕さん（７３）と西角純志さん（５１）。太田さんは約３６年間、西角さんも約４年間勤務した。

　「障害者はいなくなればいい」「障害者は不幸しかつくれない」。現在は専修大学経済学部で兼任講師を務める西角さんは、７月２６日の事件発生以降、元職員の植松聖（さとし）容疑者（２６）＝鑑定留置中＝の言動ばかりが報道され、拡散していく状況に危機感を抱いていた。

　神奈川県警は、殺害された１９人の性別と年齢のみを公表。負傷者は男女別の内訳しか明らかにせず、「遺族や家族の意向を尊重した」と理由を説明した。

　西角さんは「（遺族や家族の）沈黙は理解できる」とした上で、「語られないものは、存在しないことと同義。『障害者はいらない』という容疑者の思想を、間接的に肯定してしまうことになりかねない」と訴える。

■一人一人に個性

　「元施設職員の自分ができることは、まだ語られていない声を拾い上げること」。西角さんは、親交があった太田さんに胸の内を打ち明けた。

　太田さんも事件の風化が思ったより早く進んでいると感じ、その要因の一つに被害者の匿名があるとみていた。

　事件から１カ月以上が過ぎた９月から、まずは施設の元職員に、亡くなった１９人の在りし日の姿を聞き始めた。すると、それぞれの「生きた証し」がおぼろげに見えてきた。

　リーダー的な存在で、新任の施設職員に仕事を教えてくれた面倒見のいい男性。メントールクリームの香りが大好きで、手につけると跳びはねて喜んでいた人もいた。ある男性は電車が好きで、「ドアが閉まります」と車掌の物まねを見せてくれた。

　一人一人に確かな個性があった。

■最良の形を探る

　太田さんは今も施設のすぐ近くに住んでいる。今後は元職員に加え、現職員や入居者の家族へとコンタクトの範囲を広げるつもりだ。最終的には遺族に接し、それまでに関係者から聞き取った言葉や思いを届けたいと考えている。

　ただ、元職員の中にも「まだ話したくない」と聞き取りを拒否する人がいた。傷がより深いはずの遺族の本音をくみ取るのは容易ではない。

　事件をめぐっては、県警が今月１９日、負傷した入居者２４人への殺人未遂容疑で植松容疑者を追送検した。同日、２４人のうち男性２人の氏名を発表。事件の被害者の名前が公になるのは初めてのことだった。

　男性らの家族は産経新聞などの取材に、「息子にはちゃんと名前がある」「名前を出すことでどういう人かが見えてくる」と公表を承諾した理由を明かした。

　太田さんは今回の聞き取りを計画する前、一部の遺族と手紙でやり取りをしていた。必ずしも公表を固く拒否する人ばかりではなかったという。「悩み、揺れている人もいるということ。粘り強く話し合って最良の形を探りたい。皆、生きていたのだから」

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相模原殺傷事件７月２６日未明、相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で、元職員の植松聖容疑者が入居者１９人を刺殺、職員を含む２７人に重軽傷を負わせた。神奈川県警津久井署捜査本部は、これまでに１９人への殺人容疑などで３回逮捕。重軽傷者のうち２４人分の殺人未遂容疑で追送検した。残りの３人についても、結束バンドで縛って殴るなどした逮捕監禁致傷容疑で捜査を続けており、来年１月に送検を終えるとみられる。

確かに19人殺ったわりには報道が沈静化するのが早かったな…あの地下鉄サリン事件でも組織的犯行で死者13人だからなぁ。

【相模原殺傷】「息子にはちゃんと名前がある」「１９人の生きた証し示して」　実名公表に向け遺族の声、聞き取りへ　２６日に５カ月