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各地で敗退、見え始めた終焉、追い詰められたIS、テロ激化か – 佐々木伸 (星槎大学客員教授【換金くん琴似店ブログ】

“過激派組織「イスラム国」(IS)の終焉が見え始めた。本拠のシリアでは、トルコとの戦略的な交通の要衝、北部のマンジュビが陥落、第2の拠点化を狙った北アフリカ・リビアのシルトも制圧された。アフガニスタンでもIS指導者が米空爆で死亡した。追い詰められたISが欧州やアジアでテロを激化させる恐れが再び強まってきた。   

黒マント焼却、あご髭そって祝福
 シリアのマンジュビは首都のラッカ北西約120キロに在る人口10万人の都市だ。トルコ国境まで北方へ約30キロのところにある。ISにとっては、もう一つの国境の町アルライとともに、トルコからの物資の搬入にとっては欠かせない重要な補給拠点だ。

 マンジュビはまた、外国人戦闘員のシリア出入国の拠点になってきた。世界各地から3万人以上の外国人がマンジュビを経由してラッカに入った。欧州のテロ作戦に出撃した戦闘員もこの地を通ってトルコに出国、パリやブリュッセルに潜入した。

 ISの支配するマンジュビに対し、6月から「シリア民主軍」(SDF)の攻撃が始まった。「シリア民主軍」はクルド人武装組織「人民防衛隊」(YPG)とシリア人の部族部隊からなり、数千人がマンジュビ攻略作戦に参加した。マンジュビから数キロ離れた仮設の司令部では米特殊部隊が作戦を支援した。

 米軍は作戦開始以来、マンジュビのIS拠点に100回を超える空爆を行った。多い時では空爆は1日20回以上にもなったという。この激戦でIS側は1000人以上が死亡、SDF側にも100人を超える戦死者が出た。

 激しく抵抗していたISは8月12日、遂に撤退を開始。バスや乗用車など約2000台の車両がマンジュビから北方のジャラブルス方面に逃走した。この際、IS戦闘員は住民らを“人間の盾”として一緒に連行したが、一部は米軍の攻撃で死亡した、という。

 ISが逃げ出したマンジュビはお祝いムードに包まれ、イスラム原理主義を信奉する象徴としてあご髭を強要されていた男たちが髭をそったり、ニカブという黒いマントで顔から全身を隠すよう強いられてきた女たちはニカブを脱ぎ捨て、火を付けて燃やした。

 ISにとってマンジュビの陥落は極めて大きな打撃であり、すでに始まっているSDFの首都ラッカ攻撃に弾みがつくことになった。ISはシリアの隣国のイラクでも先月、ISのイラクの最大拠点モスル南方のカイヤラ空軍基地を政府軍に制圧された。モスルへの攻撃も2、3カ月以内に開始される見通しだ。

対外テロ機関「エムニ」の脅威
 ISの劣勢はシリア、イラクだけではない。ISが拠点化を図ってきたリビアの地中海都市シルトは8月10日、暫定政府支援の民兵軍団にほぼ奪回された。ISの生き残り戦闘員が市内の3カ所でか細く抵抗しているものの、完全制圧も時間の問題だ。

 シルトへの攻撃には米軍も深く関与。米軍は民兵軍団を支援して8月の始めの1週間で、約30回にわたってIS拠点を空爆した。民兵軍団は地中海に逃れるIS戦闘員を阻止するため船舶を出して海上でも警戒しているが、シルトにいた戦闘員は6000人と言われており、掃討作戦はしばらく続きそう。

 またアフガニスタンとパキスタン地域のISの指導者ハフィズ・カーンが7月26日、アフガン東部ナンガルハル州での米空爆で死亡していたことも明らかになった。ISは中東各地や欧州だけではなく、アジアにも勢力拡大を図っていただけに、カーンの殺害は大きな痛手と受け止められている。

 こうして世界各地でISが追い詰められている中、欧米の治安機関の間ではISの対外テロ作戦機関「エムニ」が本部の指令を受けて本格的なテロ活動に出るのではないか、との懸念を深まっている。「エムニ」はISの内部秘密警察と対外部門が一緒になったような組織。IS公式スポークスマンのモハマド・アドナニが束ねている。

 出身地や言語などによって「欧州部隊」「アジア部隊」などに分かれており。これまでも「エムニ」の工作員が昨年のパリの同時爆破テロ、今年のブリュッセル国際空港自爆テロを起こしたことが分かっている。

 欧州の捜査資料として報じられているところによると、これまで「エムニ」の工作員が欧州、アフリカ各国の他、バングラデシュ、インドネシア、マレーシアに送られたとされている。邦人7人が殺害されたバングラデシュの飲食店襲撃、8月初めにはシンガポール標的テロが発覚しており、アジア各地でも「エムニ」の活動が活発化すると憂慮されている。

 特に欧州の治安機関が追跡しているのがアドナニの2人の副官、フランス国籍のアブ・ソウレイマネと、シリア人のアブ・アハマドだ。2人は海外に送り込む「エムニ」の戦闘員の選抜、標的の選定、工作員の後方支援などを担当していると見られている大物だ。

 米紙によると、シリアからの難民に偽装して欧州で逮捕された男の1人は、アブ・アハマドによってトルコのある携帯電話番号を与えられていた。その番号は昨年のパリのテロ事件で、フランス競技場で自爆して吹っ飛んだ男の片足のズボンのポケットから見つかった番号と同じものだった。”


各地で敗退、見え始めた終焉、追い詰められたIS、テロ激化か – 佐々木伸 (星槎大学客員教授



何百年も前から続く宗教戦争に終焉は無いでしょうね・・・今回の「イスラム国」を制圧してもまたこういう思想の過激な集団は必ず現れるでしょうね・・・それはイスラム教が悪、というわけではなく、ほとんどの宗教が主神は1人の絶対神なんですから、その構図で過激な人間が考えると、主神以外の神をあがめていること自体が悪=排除対象という事になるんでしょうね。

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