ジカウイルスを「無力化」する抗体2種を発見、研究 「換金くん清田区北野店ブログ」
欧州の研究チームは23日、ジカウイルスを攻撃する抗体を発見したと発表した。脳損傷を引き起こすジカウイルスに対する予防ワクチンの開発に向けた道を開くことが期待される発見だという。
研究チームの報告によると、免疫系の最前線で闘う兵士であるこの抗体は、培養皿内のヒト細胞に感染したジカウイルスを「効果的に無力化」する。また、ジカウイルスと近縁のデングウイルスにも有効に作用するという。
この発見は、ジカ熱とデング熱の両方の感染症に対する「万能ワクチンの開発につながる可能性がある」と、研究チームは期待を寄せている。
ジカウイルスを攻撃する分子は、過去にデングウイルスに感染したことがある人々から採取された。これらの人々の免疫系では、デング熱と闘うための抗体が作られていた。
英科学誌ネイチャー(Nature)と英科学誌「ネイチャー・イムノロジー(Nature Immunology)」に掲載された対を成す2件の研究論文の共同執筆者で、仏パスツール研究所(Institut Pasteur)のウイルス学者のフェリックス・レイ(Felix Rey)氏は「この抗体は、例えばジカウイルスに感染する危険にさらされている妊婦を守るためなどに利用できるかもしれない」と述べた。
「今回の研究では、デングウイルスとジカウイルスは非常に近い近縁関係にあるため、デングウイルスに対して作られた抗体の一部が、ジカウイルスをもかなり強力に無力化できたことを発見した。こうした発見は全くの予想外だった」と、レイ氏は付け加えた。
だが、実用的なワクチンの完成はかなり先になる可能性が高いと、レイ氏は注意を促した。「特に、臨床試験を実施するために、やるべきことがまだ数多くある。これにはある程度の時間がかかる可能性がある」
■抗体の一部は逆効果に
デングとジカは、どちらもネッタイシマカが媒介するウイルスで、同じフラビウイルス科に分類される。ジカに有効な薬剤は今のところないが、デングに有効なワクチンは存在する。デング熱は、ブラジルの風土病だ。
憂慮すべきなのは、今回発見された、ジカウイルスを殺傷する2種類の抗体以外の、デングウイルスに対して活性を持つ他の分子の大半が、実際にジカウイルスの効力を増大させる可能性があることだ。
このことは、デングウイルスの感染歴があることが「ジカウイルスの感染力を高める可能性がある」ことを示唆していると、論文の共同執筆者で、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のギャビン・スクリートン(Gavin Screaton)氏は指摘した。
「これは、現在のジカ熱の流行がこれほど深刻であること、そしてデング熱の流行地域で起きていることの理由かもしれない」
この発見は、ジカワクチンで適正な抗体を用いることの重要性を浮き彫りにしていると、レイ氏は述べた。
研究の次の段階では、既存のデングワクチンをジカ熱との闘いに用いることができるかどうか、もしくは新薬を開発する必要があるのかどうかなどに関する調査が行われるとみられる。
ずいぶん早い発見でしたね。
ジカウイルスを「無力化」する抗体2種を発見、研究