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山口組の「秘密部隊」その並外れた戦闘力と諜報能力~神戸山口組幹部射殺にも関与か【換金くん札幌本店ブログ】

■やはり弘道会が動いた
実行犯の特定が難しいかと思われた神戸山口組幹部射殺事件は、犯行の5日後の6月5日正午過ぎ、6代目山口組系弘道会傘下の山本英之容疑者(32)が、犯行現場の岡山県警岡山南署に出頭して自供、解決へ向けて大きく動き出した。

同時に、名古屋の弘道会が実行犯となったことで、「個人的怨恨」や「地元岡山でのトラブル」といった線は薄くなり、6代目山口組による神戸山口組に対する組織的襲撃事件の可能性が高くなった。

9ヵ月前に分裂した時から、神戸山口組に対する粛清を行うのは「6代目山口組の中核組織である弘道会以外にない」と言われてきた。資金力と組織力はいずれも抜きん出ており、しかも司忍6代目、高山清司若頭の出身母体である。

山口組といえば神戸が発祥の地である。だから山健組を中心とする神戸勢は、「神戸山口組」を名乗って独立したが、弘道会は名古屋という“異境”を切り開いただけに、シビアな情報管理と上納金の徴収、不断の戦闘性で知られる強固な組織だ。司―高山コンビのよる統治は「弘道会方式」と呼ばれてきた。

だが、「弘道会しかない」とはいえ、昨今の改正暴対法、組織犯罪処罰法などによる締めつけは、3次団体、4次団体の犯罪でも、一気に司6代目にまで駆け上がる苛烈さで、簡単には身動きが取れず、それを承知の執行部も抗争を戒めてきた。

それでもやはり、粛清を実行したのは弘道会だった。山本容疑者は山口組系弘道会系郄山組内山本興業の組長。4次団体組長の山本容疑者が、誰の指示で殺害に至ったかの取り調べは、これから厳しさを増す。

無期懲役を覚悟の上での出頭。山本容疑者は、それなりにハラを据えており、その証言をもとに、組織犯罪処罰法(組織的殺人)で、まず石原道明・郄山組組長、次に竹内照明・弘道会会長、そして司6代目にまで駆け上るのは容易ではない。

暴力団社会を取り巻く法環境が変わり、シノギは枯渇、暴力団員の数が年々、減少するなか、弘道会が襲撃事件を起こしたのには、それだけの歴史がある。弘道会史をひもといてみよう。

■秘密組織「十仁会」
「返し(報復)をしなければ、(山口組の)菱の代紋に傷がつく」

この言葉は、1969年5月、組員の移籍をめぐって対立組織に組員2人を殺された山口組系鈴木組内弘田組の若頭だった司6代目が、襲撃チームを編成して、メンバーに放った言葉である。

襲撃は成功、対立組織の組長を愛人宅で刺殺。名古屋という地元組織が群雄割拠する地で、港湾荷役のほかは目立ったシノギのなかった鈴木組は、戦闘力を認められ、基盤を築くきっかけとなった。だが、司6代目は殺人教唆で懲役13年の実刑判決を受けて服役。代償を支払った。

鈴木光義組長の引退後、弘田組が地盤を継承、司6代目は出所後も若頭として弘田武志組長に仕えていたが、84年に勃発した山口組と一和会に分裂しての「山一抗争」の際、弘田組長が引退。組を引き継いだ司6代目は、「弘」の字を残して84年6月、弘道会を立ち上げて山口組の直参(直系組長)となった。

弘道会の戦闘性を表すのが、秘密組織の「十仁会」である。

組織したのは高山若頭。「司組長を日本一の親分にするのが夢」と、語っていた高山若頭は、「情報の効用」を知り、「訓練された戦闘部隊」の必要性を感じていた人だった。そこで十仁会を組織したが、そのメンバーと役割はどのようなものだったのか。

「系列組織から、知力と体力を兼ね備えている優秀な若い衆を選抜して組織しました。

人選で重要なのは前科がなく、対立組織や警察にマークされていないこと。尾行や盗聴などの隠密活動が必要だからです。特殊な情報収集にあたるだけでなく、海外などで武器を扱う訓練を受け、抗争時には戦闘部隊にもなりました」(十仁会を知る弘道会元幹部)

■火蓋は切られた
抗争になった時、必要なのは、対立組織メンバーの住所氏名、愛人宅や立ち寄り先、行きつけの店、携帯番号と車のナンバー、そして行動パターンである。前述の元幹部は、データベース化された十仁会の資料の精密さに舌を巻いたという。

ただ、かつては初代十仁会会長、2代目十仁会会長と、組織図にその名を記していたが、「秘密組織」が表に出ていてはマズイということで、高山組行動隊長がその役割を担うようになった。

今は、存在を含めてベールに包まれているが、情報を収集し戦闘に備える秘密部隊は、今も存在するという。

高山組直系の山本容疑者は、おそらくその役割を担ったのだ。ヤクザであれば「宿命」であり、47年前には27歳の司6代目が、その役割を引き受けて服役した。

しかし、いまは実行犯はもちろん、組織のトップにまで駆け上がって無期刑が下される時代である。

「懲役」が勲章にはならないし、たとえ長期服役で済んでも、出所してきた時、所属する組はもちろん、暴力団という組織自体が存在している保証はない。

先週(6月2日)配信した記事で書いたように、だから神戸山口組、6代目山口組の両執行部は、「共存」を模索、統一に向けた話し合いに入っていた(「山口組幹部射殺事件、抗争はどこへ向かうのか?」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48805)。

だが、それはシノギをめぐってバッティングする現場の若手幹部らにとっては預かり知らないこと。

高山組を中心に弘道会のイケイケ派が襲撃班を編成、サミット休戦明けを待って、岡山県で6代目山口組の組員切り崩しの先頭に立ち、ボディガードをつけて歩かないなど警護の甘い池田組の高木忠若頭を狙ったのだろう。

火蓋は切られた。

「返しをしなければヤクザじゃない」という伝統は、今に生き、襲撃された池田組はもちろん中核の山健組のなかに、連絡が取れない組員がいて、「襲撃部隊が編成されたんじゃないか」という情報もある。

抗争を避けたい双方の執行部が、現場の暴走を抑えつつ、どう治めるのか。予断を許さない。

今までみたいに事務所に自動車ツッコむくらいの小競り合いじゃなく本格抗争に発展しそうだな。まあ、一般人ではないわけだから。殺したり殺されたり、そういう覚悟をもって組織に所属しているんだから昔の抗争みたいに巻き込まれた一般人が出ないのなら双方納得いくまでやり合えばいい。

山口組の「秘密部隊」その並外れた戦闘力と諜報能力~神戸山口組幹部射殺にも関与か

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