「わかば」など格安たばこが4月に値上げ 愛好家たちに、ほろ苦い春到来【換金くん札幌本店ブログ】
「わかば」「エコー」「ゴールデンバット」……。割安感で庶民の味方とされてきた「旧3級品」たばこへの軽減税率が4月に廃止され、30~50円値上げする。さらに2019年まで段階的に税率が引き上げられるという。
「今度こそ禁煙するしかない」「本数を減らすか」。往年のファンには、ほろ苦い春となりそうだ。
そもそも「旧3級品たばこ」とは?
「本当? それは痛いなあ」東京都台東区入谷の街角で一服していた男性(74)は、値上げの話を耳にすると、顔をしかめた。20歳代から建設現場で働く。現場作業のつらさを紛らわしてくれるのは、「わかば」や「エコー」だ。若い頃、たばこを買う金がなかった冬場には、先輩がくれた一本で体が暖まったという。
「年を取って、収入も減るばかり。ここで値上がりしたら、もう本数を削るしかない。唯一の楽しみなのに」
そもそも旧3級品たばことは何なのか。
1985年にたばこ事業法が施行されるまで、たばこは葉の品質によって1~3級品に分類されていた。現在も販売される「わかば」「エコー」「しんせい」「ゴールデンバット」「ウルマ」「バイオレット」は、その3級品だった。事業法で品質分類は廃止されたものの、6銘柄には、たばこ税法(85年施行)で軽減税率が適用され、税率は通常品の半分以下に抑えられており、いまも210~260円と格安だ。
その歴史も興味深い。「ゴールデンバット」はJTが現在販売する銘柄のなかで最も古く、文豪、夏目漱石が「坊っちゃん」を発表した06年に発売された。当時の価格は4銭。
あまり馴染みがない「ウルマ」「バイオレット」は沖縄県限定たばこ。「ウルマ」は県内でトップを争う人気銘柄だ。古くは「琉球たばこ」という民間会社が製造販売していたが、日本国内ではすでにたばこの専売制が導入されていたことから、沖縄県の復帰に伴い、JTの前身、日本専売公社が引き継いだ。そのため、資料には、販売年月日として、沖縄復帰記念日の72年5月15日が記されている。
高齢者以外にもシェア拡大
ちなみに、現在の旧3級品は、葉の品質が低いわけではなく、「軽減税率もあるが、価格に見合ったブレンドをしたり、パッケージの低コスト化を図ったりして、定価を抑えている」(JT IR広報部)という。
古い銘柄が多いだけに、「高齢の方に好まれる」(同広報部)傾向が強かったが、近年、増税による価格上昇が続くなか、格安の旧3級品の国内市場シェアがじわじわと拡大。セブンスターが400円の大台に乗った翌年の2011年度には、エコーが8位と初のトップテン入り。15年4~12月のデータでは、わかばが4位、エコーが5位と主要銘柄をしのぐ勢いとなっている。
軽減税率が廃止される4月、現在210円のゴールデンバットは260円、250円のエコー、しんせい、バイオレットは280円、260円のわかば、ウルマは290円へと、それぞれ30~50円値上げされる。
那覇市在住のアルバイト男性(51)は、まだ東京で働いていた頃、相次ぐ値上げに一時は禁煙したが、6~7年前に帰郷後、価格が安いこともあって「バイオレット」党に。主要銘柄のメビウスなどを好む地元の若者には「おじさん臭い」と言われるが、「県限定のたばこを愛用しろよ」と冗談半分に言ってきた。
「でも、今度の値上げは、さすがに厳しい。もう、やめるしかないかも」
JTは4月以降の旧3級品の価格改定について、
「市場動向を見極めながら慎重に検討していく」として、増税による値上げ幅をまだ明らかにしていない。長年、わかばを愛好している高齢男性は、
「日本も金がないようだから、税率の軽減がなくなるのは仕方ないとしても、『増税分』がどこに使われるのか、せめて、はっきり説明してほしい」とぼやいている。
先日、同僚が「僕は煙草が1,000円になったとしても吸い続けます!」と宣言してました。