傾きマンション、検査に限界 市「偽装見抜くのは無理」【換金くん琴似店ブログ】
横浜市都筑区の大型マンションが傾いた問題で、偽装された杭のデータは、建築時の検査をすり抜けていた。国も自治体も「見抜くのは無理」と口をそろえる中、消費者は安心してついのすみかを買えるのか。国土交通省はチェックを強化する検討を始めた。
「杭打ち工事のデータを偽装されると、見抜くのは事実上、無理だ」。横浜市の幹部はそう漏らす。今回、旭化成建材の工事担当者による偽装の対象となったデータは法令上、提出の義務がない。こうした不正はないという「性善説」に立って検査をしているためだという。
マンションなどを建設する際は、建築基準法など関連の法令に適合しているかどうかをチェックする建築確認検査が行われる。横浜市の場合、全国の自治体と同様に行政や民間の指定確認検査機関が行い、問題のマンションでは民間の検査機関が実施していた。検査費用は業者の負担という。
検査は、主に3段階。「着工前審査」では、設計図が問題ないかなどをチェックする。杭打ちなどの基礎工事の終了後には「中間検査」。さらに工事が正しく終わったかを調べる「完了検査」がある。
「セメントの量や固い地盤(支持層)に達したかなど杭打ち工事のデータは検査機関や市への提出義務がない」と市の担当者。仮に工事に疑問点があった場合に現場や、きちんと記録が残っているかの確認はするが、短時間だという。今回のマンションはすべての検査に合格していた。(豊岡亮)
■国、防止策を検討
「偽装のチェックまで今の法律は行政側に要求していないと思う」。年間約200物件を確認する東京都の飯塚睦樹・建築指導課長は戸惑う。現在の仕組みでは、杭を埋めた後に書類とヒアリングでチェックするしかない。「施工者のモラルの問題だ」と話す。
大阪市の担当者も「工事途中で何か通報でもない限り、行政で不正を知りうる機会はない。もし同様のケースが大阪市であったら、何かできたか」と悩む。
信頼性無くなるわ
傾きマンション、検査に限界 市「偽装見抜くのは無理」