真面目に味追究「昆虫ソース」 醤油発祥・和歌山「新たな特産に」 「換金くん清田区北野店ブログ」
大豆の代わりにイナゴやバッタを原料にした「昆虫ソース」の開発が、醤油(しょうゆ)発祥の地、和歌山県湯浅町の職人のアドバイスのもとで進められている。慣れない食材に作業は難航したが、“和の鉄人”として知られる料理人もその独特の風味を絶賛。ようやく10月に商品化のめどが立ち、関係者は「和歌山の新たな特産品に」と期待を寄せている。(土屋宏剛)
◆貴重なタンパク源
開発を手掛けるのは、同県紀の川市で地域活性化支援団体「いなか伝承社」を主宰する田中寛人さん(33)。きっかけは、平成25年に「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことだった。醤油も「ソイソース」として世界で知られるようになったが、発祥の和歌山の知名度はいまひとつ。
そこで「郷土の味と文化を広く知ってもらおう」と、話題性も狙って思い付いた。昆虫は海外でも食糧危機に対応できる貴重なタンパク源として知られている点にも目を付けた。
開発にあたっては「湯浅醤油」(湯浅町)の5代目当主、新古敏朗さん(46)のアドバイスを受けた。醤油はおけに塩と水と麹(こうじ)、大豆を入れて寝かせ、温度変化の激しい環境を避け発酵させてつくるが、昆虫ソースは大豆の代わりにイナゴやトノサマバッタなど5種類の昆虫約1キロ(2千匹分)を使った。
「昆虫も大豆と同じタンパク質」。田中さんはそう楽観的に考えていたが、たちまち問題が発生。昆虫の殻が硬いため、麹菌が定着しなかったのだ。そこで、本来の醤油造りでは使わない米麹や醤油麹を入れ、発酵を促進した。
また、寝かせる期間も見当がつかず、何度も塩分濃度を調整して味見し、昆虫や水を加えながら発酵を進めた。苦労のかいあって3カ月もすると、おけからいい香りが漂ってきた。
◆実は自然食品!?
昨年、試作品を“和の鉄人”として知られる料理人の道場六三郎さんに送り、味見してもらったところ、「珍しい」と言って絶賛してくれた。来月末には熱処理を加えて完成させ、販売を始める予定という。
今回のソースづくりで最も苦労したのは昆虫探し。田中さんは2年間、田畑などでイナゴやバッタを探したが、ほとんど見つからなかった。結局、昆虫食に詳しい人を通して市販の昆虫を購入したが、農薬や除草剤の使用などで繁殖に適した環境が周辺で減っていることが分かった。
新古さんは「昆虫は発酵させても不快な臭いは全くない。昆虫ソースを通じて自然や環境の大切さにも気付いてもらえたら」。田中さんも「虫がおいしい食品になると分かれば、農家も見方を変え、無農薬栽培が増えるかもしれない」と期待している。
タイトル見た時に「絶対しょうゆバッタだ!」って思ったら本当に原料バッタだった笑
真面目に味追究「昆虫ソース」 醤油発祥・和歌山「新たな特産に」