脱ひな壇で快調、マツコのゴールデン番組
言われたらそうだよなぁｗｗｗ
昨秋ゴールデン進出したＴＢＳ「マツコの知らない世界」（火曜午後９時）が好調だ。マツコ・デラックス（４２）が「ドレッシング」「加湿器」「ギョーザ」「手帳」など、その分野に情熱を注ぐ専門家を招き、奥深い世界を掘り下げる。マツコとゲストの２人きりというシンプルな番組構成が“ひな壇疲れ”した視聴者層をつかんだのか、先ごろ放送されたスペシャル版は番組最高の視聴率１４・５％を記録した。「今のテレビ作りの真逆をやっている」という坂田栄治プロデューサー（３９）に、番組作りを聞いた。
【写真】マツコがアンドロイドマツコと対面
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－大勢のタレントでにぎやかにトークするひな壇スタイルが今も主流な中、マツコさんと専門家の２人きりというシンプルな番組構成は、ゴールデン枠では珍しいですよね。
坂田 もともとＴＢＳはひな壇作ってワーッとやるのが得意じゃないので（苦笑い）、深夜番組時代の、狭いところでやっている雰囲気をゴールデンでも踏襲しています。ゴールデンに行く時、マツコさんからも「ほぼ変えないで」とリクエストがありました。マツコさんが何を考えているのか、その脳みそを一番長く見られる、ほかにはない番組だと思います。
－マニアや専門家をワンコーナーに招く番組はよくありますが、キャラいじり優先で専門知識がおまけになってしまうケースも多い。マツコさん相手に好きな分野をとことん掘り下げられるこの番組は、ゲストも楽しそうですよね。「ギョーザ」の回でいえば、イチオシ冷凍ギョーザの紹介から始まって、専門家のご家庭レシピをスタジオで一緒に作るとか。「ドレッシング」の回では、余ったドレッシングの利用方法に目からうろこ。毎回のテーマに興味が広がります。
坂田 ゴールデンの番組で出演者２人（笑い）。テレビのムダなところがそぎ落とされている番組だと思います。ゲストが多ければ番組が派手に見えるとか、セットが豪華なら視聴者の目に留まるとか、そういう制作のセオリーって本質とは関係ないじゃないですか。テンション高く笑える人や、感動ＶＴＲでちゃんと泣いてくれる子をにぎやかにキャスティングするというのが今の番組の作り方だと思うんですけど、「それ要るのかな」というのがマツコさんの思い。「テレビってお金かけすぎ」「世の中そんなに派手じゃない」と。見た目は派手な女装のマツコさんですが、人間性はとてもシンプル。テレビもそうあるべきだという思いが形になっています。
－「ダム」とか「ホットケーキ」とか、毎回のテーマはどう選んでいるのですか。
坂田 スタッフ、ディレクターが興味をもったものですね。その分野を極めている人を調べて、５人くらいは普通に会いに行きます。純粋にその分野が好きなのか、ビジネスとして好きなのか、会うと分かるんですよ。ビジネスとして好きな人は面白くならない。何の得もないのに一生懸命やっているから研究成果やおすすめ商品が面白いのであって、何人か会ってみてピンとこなかったら、そのテーマからは撤退しています。マツコさんから言われているのは「汗をかけ」ということ。「ちゃんと調べてね」「ゲストを大切にしてね」と。
－面白くなりそうもない人や素材でも、面白くしてやるぞという手法もありますが。
坂田 いえ、面白くなかったら撤退します。そこを「面白くしてやる」とこねくり回しているのが今のテレビ。たいしておいしくないものを派手に「おいしいー！」とリアクションしたり。そこにウソが発生しているのを視聴者は見抜いている。そんな今のテレビの真逆を行っているのがこの番組。やっぱり、汗をかいて、時間をかけないと。他局ですが、マツコさんと村上信五さんの「月曜から夜ふかし」（日本テレビ）も汗を感じますよね。多分、すごいインタビューたくさん回して、調べ上げた中で面白いものしか出していないはず。でないと、あんなに面白くならないですよ。
－どんなテーマにも対応するマツコさんの博識も笑えます。グッズもグルメも、その歴史を含めてよく知っている。
坂田 何でもよく覚えているのは驚きますね。「これ食べたことある」とか「ここ行ったことある」とか。ゲストが話しやすい雰囲気をうまく作っていく。地図が好きだしいろんなところに行っているから、特に地理関係の知識はすごいですよ。
－ゲストとマツコさんからにじむ説得力がすごいので、「元素図鑑」とか、うっかり買ってしまったものも多いです。
坂田 ウチの冷蔵庫なんか、「チーズ」の回でゲストが紹介したスライスチーズが大量にストックされてます（笑い）。ゲストが「ズボラは使うな」と紹介した加湿器を持っているスタッフは、さっそく干してお手入れしてました。みんなかなり、影響されてます。