「72時間」募る焦り…必ず生きて帰って
「イスラム国」を名乗る過激派組織が期限とした「72時間」がきょう23日に迫る中、救出に向けた動きが22日も続いた。
誰が交渉するのか、窓口はどこなのか。ジャーナリストの後藤健二さん(47)と湯川遥菜(はるな)さん(42)を知るゆかりの人は、「必ず生きて帰って」と無事を祈った。
「生きて帰ってきてくれる。それしか考えられない」。パキスタンで貧しい子供たちの就学を支援する国際支援団体代表の喜多村(きたむら)潤さん(29)(横浜市)は、焦りの色をにじませた。
後藤さんとは約5年前に知人の紹介で知り合った。後藤さんは、中東やアフリカの難民キャンプで撮影した映像を国際機関に届けるなどして、子供たちへの支援を広げようとしていた。
喜多村さんは、危険を冒してまでも、子供たちのために献身する姿に共感した。「苦しんでいる子供たちの声を世界に届けることが彼の目標だった」と語り、「政府は交渉のため何をすべきかを整理して冷静に対応して」と訴えた。
長崎市の児童養護施設「明星園」の奥貫賢治園長(66)も「とにかく命だけは助かってほしい。子供たちも同じ気持ちです」と願った。
後藤さんは2010年10月、同施設を訪れ、約40人の子供たちと交流。取材に使う無線機を見せながら、ジャーナリストの仕事を説明した。子供たちと夕食をともにし、「おいしいね」とカレーをおかわり。この年のクリスマスに後藤さんから、チョコレートが届けられた。22日朝には、小学生の女児が奥貫園長に「あのおじちゃん、どうなったの?」と心配そうな表情で聞いてきたという。
自身が主催するトークイベントで後藤さんに紛争取材の経験を語ってもらった大阪府豊中市の演出家、馬場さくらさん(41)は「『ただいま』と帰ってきてくれると信じています」と祈るように語った。
湯川さんが設立した会社の顧問を務める元茨城県議の木本信男さん(70)(水戸市)も「命だけは助かってほしい」と声を振り絞るように話し、「身代金を用意するにしても、わずか72時間では難しいことは誰でもわかる。何一つ理解できない」と怒りをにじませた。
無事に帰ってきてほしいですね。
「72時間」募る焦り…必ず生きて帰って