友救えなかった苦悩 チェーンソー使った救助ボランティアの男性
阪神・淡路大震災発生の日、奥畑和也さん(46)=兵庫県丹波市柏原町下小倉=は、神戸市内で友人を救えなかった。その記憶を胸に日々を送ってきた。しかし昨夏、丹波市で豪雨災害が起きるとボランティア向けの炊き出しなどに奔走。チェーンソーを扱う仲間と被災した建物や倒木の解体に当たる団体を設立した。あの日から20年。今なら人を助けられると思う。
震災当日、丹波市から神戸の実家へ戻ると、長田区で中学時代の友人が家屋に閉じ込められていた。仲間4人と素手で助けようとしたが、はりが動かない。「もうええから。お前ら死んだらどうすんねん」。がれきの下から明るい声が聞こえた。炎が三方から迫り、逃げざるを得なかった。
友を置いて逃げたという記憶はずっと残った。各地で災害が起きても「自分は何もできない」と決めつけてしまっていた。
だが昨年8月、丹波市で豪雨災害が起きると体が動いた。自身が営むJR柏原駅のレストランからボランティアを無料送迎し、家屋の洗浄にも加わった。
活動の中で、チェーンソーや重機で倒木などを処理する一般社団法人「熊野レストレーション」(三重県)を知った。被災寺院の解体など普通のボランティアにできないことをしていた。
11月には奥畑さんも同市市島町の仲間と「丹波レストレーション」を結成。全国の仲間と「日本テクニカルボランティア協会」も立ち上げた。「20年前は何もできなかった。今は仲間がいるし、チェーンソーなど道具があれば人が救える」
今年は18日に神戸に向かい、あの日の5人で集まる。(森 信弘)
もう20年もたつのですね・・・
友救えなかった苦悩 チェーンソー使った救助ボランティアの男性