STAP細胞問題、再調査難航は必至 笹井氏自殺で
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)の笹井芳樹副センター長(52)が5日自殺したことで、多くの疑問点が指摘されている一連のSTAP細胞問題は、全容解明が困難な見通しとなった。理研は論文の再調査を進めているが、笹井氏が鍵を握っていただけに調査の難航は必至だ。小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダーが取り組むSTAP細胞の検証実験にも支障が生じる可能性がある。
笹井氏は2本のSTAP論文の執筆に指導的な役割を果たし、補完的な「レター論文」では小保方氏らと共に責任著者も務めた。3月末の主論文の不正認定以降にレター論文で指摘された新たな誤りについて、理研はしばらく新たな調査を拒否し、6月末になって予備調査を開始。調査に消極的だったのは、笹井氏が責任著者を務めていたためとの指摘もある。
再調査に伴い、小保方氏や笹井氏らに対する懲戒委員会の審査は中断。5日、文部科学省で開かれた記者会見では、「処分の先延ばしが一因ではないか」と、解決への道を長引かせたことが笹井氏を追い詰めたとの見方に対し、理研の加賀屋悟広報室長は「そういう一面もある。しっかり受け止め対応したい」と無念さをにじませた。
理研では共著者らがSTAP細胞の有無を調べる検証実験を続けているが、順調ではないとみられる。間もなく中間報告をする予定だが、加賀屋氏は「実験の内容について笹井氏には報告していなかったはずだ」とし、理研再生研で取材に応じた竹市雅俊センター長も「笹井氏は実験に参加しておらず、影響は基本的にないと思う」と説明した。
しかし、これとは別に小保方氏が参加している検証実験があり、笹井氏の自殺に小保方氏は「非常にショックを受けていると聞いている」(加賀屋氏)という。理研再生研の職員2人を付き添わせ、今後は家族の協力も仰ぐ必要があるとするなど、影響は相当大きそうだ。
笹井氏の研究室に所属する研究員については、加賀屋氏は「別の研究室に移ってもらったり、誰かがグループディレクターを兼務したりするなどして、しっかりサポートしたい」と述べた。
最後まで責任持っって取り組んで欲しかったです。
STAP細胞問題、再調査難航は必至 笹井氏自殺で