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「国立競技場」解体なお賛否交錯 東京五輪、国際都市へ挑戦

1964年の東京オリンピックのメーン会場となった国立霞ケ丘陸上競技場(以下、国立競技場)が今月いっぱいで56年の歴史に幕を下ろし、7月から解体工事が始まる。国際デザインコンクールで選ばれた建築家、ザハ・ハディド氏の案に基づいて新国立競技場が明治神宮外苑の同じ場所に建設される。しかし、現行計画に対しては、建築家など有識者から批判の声がやまない。創建から100年を迎える神宮外苑の歴史・文化と、どのように調和していくかが問われている。

 「目前に迫った国立競技場の解体工事を中止してほしい」-今月12日、建築家の伊東豊雄氏による国立競技場の改修案を発表したシンポジウムで、思想家の中沢新一氏はそう訴えた。すでに秩父宮ラグビー場前には日本スポーツ振興センター(JSC)の仮設事務所の建設が進むなど解体工事に向けた準備は着々と進んでいるが、新国立競技場の計画見直しを求める声があるのも事実だ。

 世界で「いちばん」のものをつくろう-とのスローガンを掲げた新国立競技場は、収容人数8万人、開閉式屋根を設置した全天候型のスタジアムで、観客席を一部可動式にすることで、陸上競技のほか、サッカー、ラグビーに使用。大規模なロックコンサートなども可能だ。

 JSCでは、2012年7月に参加資格を著名な建築家に限定した国際デザインコンクールの開催を発表。日本を代表する建築家、安藤忠雄氏を審査委員長に、2カ月という短期間で応募があった46作品の中からザハ・ハディド氏を選んだ。当初の案は、敷地をはみ出して高速道路や鉄道をまたぐアプローチを設けるなど自由奔放なデザインで、建物の高さも70メートルと20階建てビルに相当する大きさだった。

 東京都は、ザハ案の実現に向けて13年5月の都市計画審議会で容積率緩和や用途地域変更などを盛り込んだ神宮外苑地区約64ヘクタールの地区計画を決定。「審議会の委員には建築の専門家が一人も入っていなかった」(現代計画研究所・藤本昌也会長)との指摘もあるが、計画決定で国立競技場の建て替えだけでなく、神宮外苑全体の再開発に向けた環境も整えられた。

 しかし、東京オリンピック開催決定直前の8月に、建築家の槇文彦氏が「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」と題した論考を発表。それを機に「神宮外苑にはふさわしくない建物の高さ・大きさだ」との批判が高まり、今も賛否は分かれたままだ。

 「問題の本質は日本人が築いてきた文化を継承し発展させていくという思想が欠落している点にある」-景観や緑地などのランドスケープアーキテクトで中央大学の石川幹子教授はそう指摘する。確かに国民の財産である明治神宮外苑を将来にわたってどのように受け継いでいくかが議論されないまま、新国立競技場の計画が進んだとの印象は否めない。

 明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后を東京でお祭りしたいとの願いから、国民の寄進や労働奉仕によって創建された神社だ。当時の最先端の学問や英知を集めて造られ、今や内苑の鬱蒼(うっそう)とした森は都内の貴重な緑となっている。東京都元副知事の明治大学・青山●(にんべんに分の刀を月に)教授によると明治神宮は、外苑の野球場やテニスコート、ゴルフ練習場、明治記念館などの収益で維持費が賄われてきたという。

 行政も神宮外苑の環境を守るため、1926年に高さ15メートル以上の建物は建てられない風致地区に指定、57年には外苑全体を都市計画公園に位置付けた。槇文彦氏が、新国立競技場について問題提起したのも、90年に完成した東京体育館の設計で風致地区に対応した建築に取り組んだ経験があったからだ。

 東京都では、国立競技場の建て替え後、神宮外苑にある他のスポーツ施設の建て替えも進めていく方針。神宮外苑全体の整備方針について青写真も描かれているようだが、「地権者との話し合いもあるので、まだ計画を公表できる段階ではない」(都市整備局幹部)という。神宮外苑の将来像が見えない状況で、新国立競技場の是非を判断するのは難しいのではないか。

 明治神宮は、東京オリンピックの2020年に創建100年を迎える。次の100年を見据えて神宮外苑をどのように整備していくべきか。03年に早稲田大学特命教授の伊藤滋氏を座長とする「明治神宮外苑再整備構想調査委員会」が報告書をまとめている。都市計画分野の学識者らが明治神宮幹部を招いて神宮外苑の再整備を議論した。

 当初は芝生広場として整備されていた聖徳記念絵画館の前のB地区南側は、戦後、連合国軍によって接取されたときに野球場やハンドボールコートがつくられ利用していた状態から、再び広場として再生する。国立競技場も、本来の景観を取り戻すことができるように規模を縮小して記念競技場として再整備するように働きかける。国立競技場の西側を流れ、1964年の東京オリンピックの時に暗渠(あんきょ)とした渋谷川を復元するなどを提言している。

 その一方で、都市の景観や自然を維持管理していく費用を安定的に確保していく必要もある。昨年から明治神宮球場は3年計画で耐震改修工事に着手した。テニス場やゴルフ場などの更新も進むとみられるが、新たな収益事業も必要かもしれない。

 米国では景観や自然を保全するために、その恩恵を受ける周辺開発地域に、保全地域が本来保有する容積率などの開発権を売却できる開発権譲渡制度(TDR)がある。そうした仕組みが有効との指摘もある。

 明治神宮内外苑地区は、これから100年、どうなっていくだろうか。内苑は今と変わらない姿を維持していくだろうが、外苑は時代の変化や社会の要請に対応して変わっていくかもしれない。いずれにしても、オープンな場で広く議論していくことが重要だ。64年の東京オリンピックに間に合わせるために日本橋川の上に架けた高速道路が、日本橋の歴史と文化に大きな負の遺産を残したことは認識する必要があるだろう。

日本文化は、大事です。
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