韓国客船沈没 日本の中古船を韓国で改造、大型化…船体不安定に?
珍島(チンド)(韓国南西部)沖で転覆した韓国の旅客船「セウォル号」は、かつて日本の国内定期船として運航され、韓国側に売却後、定員は100人以上増えていた。航路変更による座礁や急転換での横転の可能性が事故原因として浮上する一方、船長らの避難誘導も疑問視されている。
◆平成6年就航
セウォル号は全長約146メートル、幅約22メートル。平成6年6月から24年9月まで、鹿児島県奄美市のマルエーフェリーが鹿児島と沖縄を結ぶ定期船「フェリーなみのうえ」として運航していた。
日本では運航に支障が出るような事故はなく、24年10月に韓国側に売却。約半年の整備期間を経て韓国で昨年3月から就航し、北西部の仁川と南部の済州島を週2回、片道13時間半かけて往復していた。
日本製船舶は中古船として、アジア向けに転売されるケースも多く、整備や改造により30年ほどは運航できるという。
韓国では船体改造が行われたとみられ、定員は日本時代の804人から921人に増加。細分化された客室が大部屋に改造され、一気に海水が流れ込む構造になっていたとの情報も。総トン数も800トン増え、船体のバランスが不安定になっていた可能性もある。
◆ジグザグ航行
セウォル号の運航状況にも注目が集まっている。
韓国の聯合ニュースは17日、「旅客船は針路変更する際、急激に方向転換したことが事故原因となった可能性が高い」と報じた。
事故現場の珍島付近は、済州島に向かう船舶が針路を変更する「変針点」。船首の向きを急激に変えたため積載貨物が一方に片寄り、バランスを崩した可能性がある-との韓国海洋警察関係者の見立てを紹介している。
乗客が「ドーン」という音を聞き、浸水直前までジグザグ航行していたという証言も踏まえ「衝撃音は、急な針路変更で片寄った貨物が船体にぶつかった音と考えられる」としている。
周辺海域での航行経験がある鈴木邦裕・神戸大海事科学部客員教授(77)は「本来の基準航路から、何らかの理由で外れた可能性が高い。船員の確認不足など初歩的なミスではないか」と指摘する。
◆救命いかだは
乗客の安全確保では、船長や船員の対応にも批判の声が高まっている。
朝鮮日報によると、事故発生当時、船には船長ら約30人の乗組員がいたが、事故発生直後に素早く脱出して救助されていたという。船員らの行動について、船員を養成する独立行政法人「海技教育機構」(静岡市)の担当者は「船員にとって乗客の安全確保は最も重要なのに、職務放棄と取られかねない」とし、船員らの対応が犠牲者の拡大を招く可能性を示唆した。
鈴木客員教授は、事故現場の航空写真に救命いかだが写っていないことにも着目。「旅客船に備え付けられているいかだが海上に下ろされていないのは大きな問題。本来なら救える命も救えなくなる」と話す。
この事故は人為的事故ですね。
韓国客船沈没 日本の中古船を韓国で改造、大型化…船体不安定に?