「除雪目的では難しい」埼玉県、秩父市の自衛隊派遣要請を断っていた
14日の大雪で住民が孤立した埼玉県秩父市が15日以降、同県に自衛隊の災害派遣要請をするよう複数回にわたって電話で求めたが、県は「除雪目的では難しい」などと派遣要請を断っていたことが18日、県などへの取材で分かった。県の自衛隊への派遣要請は17日午後6時半にずれ込んだ。同市の久喜邦康市長も「再三要請したが県から断られた」と不快感を表明した。
県消防防災課によると、15日夕に久喜市長から電話を受け、県は陸上自衛隊大宮駐屯地の第32普通科連隊に派遣を打診。「除雪だけが目的では派遣はできない」と回答があったという。県は「道路開通の見通しが全く立たないという状況ではない」(上田清司知事)と判断し、市の求めに応じなかった。
県は17日になって対応が県の能力を超えていると判断。同日夕、秩父市と周辺4町が県に書面で正式に派遣要請を申し入れたこともあり派遣要請に転じた。自衛隊は18日、孤立した30世帯に燃料や食料、医薬品を届けた。
秩父市の担当者は自衛隊派遣を求めた理由について「市全体が孤立し危険な状態だったと考えていた」と説明。一方、上田知事は「当時は県や県警の自助努力の範囲で、自衛隊にお願いをする状況ではなかった」と話した。県のまとめでは、大雪から丸4日が経過した18日午後3時現在でも、秩父市内で260世帯460人が孤立している。
小鹿野町長留のタクシー運転手、宮前裕一さん(64)は「県はヘリで視察するなどして、秩父や小鹿野で起きている現状を知ってから判断すべきだった」と話す。14日は積雪で電車が動かず、飯能駅に停車した電車内で一夜を明かしたという。宮前さんは「早い段階で道路も鉄道もだめになることは分かっていたはず。孤立は明らかで、他県は要請していたのに断るのは理解できない」と話した。
危機管理能力が乏しいと思います。
「除雪目的では難しい」埼玉県、秩父市の自衛隊派遣要請を断っていた