変わらないことの強さ=イチロー、39歳の金字塔―通過点の4000安打
「変わらなきゃ」。1990年代、日本球界に彗星(すいせい)のごとく現れたイチローがテレビCMで口にした言葉が話題を呼んだ。20歳で史上初の年間200安打を達成し、一躍スーパースターに。だが、当時のせりふとは対照的に、イチロー自身はプレースタイルを20年以上変えることなく第一線に立ち続ける。
ストライクゾーンを外れた球も積極的に狙い、安打の可能性をひたすら追い求める。二遊間や三遊間に打球を転がし、打席から一塁まで4秒を切る俊足で内野安打にするのもいまだに得意技。とてつもない記録以前に、10月に不惑を迎える選手が守備や走塁も含めた万能選手としての強みを持ち続けていることだけでも驚異的と言える。
「(他の選手は)体形とかスピード、体のケアの問題などがあるでしょうから、(プレースタイルを)変えるというか変わらざるを得ない。僕は何かが変わったわけではないからね」。最近の発言には強い自負がにじむ。
試合に臨む不変の姿勢が支えてきた。昨夏まで11年半在籍したマリナーズのグリフィン・トレーナーは、「彼が完璧な準備なしに試合に入ることは一度もなかった」と振り返る。2009年4月に胃潰瘍を患った時を除き、体重はシーズン開幕から終了まで172ポンド(約78キロ)で一定だった。トレーナーは「今まで出会った選手の中で、最もルーティン(決められた準備運動)に忠実」とその自己管理能力を称賛する。
気が付けば、髪に白いものが多く交じる。同僚選手から日本語で「トシヨリ」と軽口をたたかれることもあるが、グラウンドでは若手を圧倒する輝きを放つ。
「僕は記録とはずっと付き合っていかなくてはいけない」と話したことがある。4000本もの安打の山も通過点。イチローが変わらずイチローである限り、新たな勲章をまた手にするだろう。
おめでとうございます!!
変わらないことの強さ=イチロー、39歳の金字塔―通過点の4000安打