移植数カ月で効果=iPSから新たな網膜―理研
ぜひ世紀の大発明を生かせるように頑張ってもらいたいですね。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床研究では、目の難病患者の傷んだ網膜を取り除き、iPS細胞から作った新たな網膜と入れ替える。理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは「移植後2、3カ月で、ある程度効果が出る」と説明する。
目の奥には、光を感じる神経網膜と、神経網膜の裏から栄養を送る色素上皮がある。臨床研究の対象となる滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性の患者は、色素上皮などに異常な血管ができ、神経網膜が傷んで視力が低下する。
臨床研究では、患者の皮膚から作ったiPS細胞を色素上皮に変え、傷んだ色素上皮と交換。神経網膜は新たな色素上皮と接して回復すると見込んでいる。
色素上皮を移植対象に選んだのは、組織の色が茶色いためだ。iPS細胞から色素上皮に変化し損なったものを移植すると腫瘍になる恐れがあるが、色で見分ければあらかじめ取り除いておける。
移植によって将来は視力回復につながる可能性があるが、理研チームは今回の研究目的はあくまで安全性の確認で、大幅な回復は期待できないと強調する。手術に伴う失明や、がん化の恐れも否定はできない。高橋リーダーは「リスクと利益を比較して判断してほしい」と話している。